乘人之危

乘人之危

1. 基本情報

• 拼音: chéng rén zhī wēi
• 日本語訳: 人の弱みにつけ込む、人の危難に乗じる
• 構成: 「乘」（乗じる）＋「人」（人）＋「之」（の）＋「危」（危難、危機）
• 意味: 人が困っている状況や、弱っている状態を利用して、自分の利益を得ようとすること。多くの場合、非難や批判のニュアンスを込めて用いられます。

2. 詳細な意味とニュアンス

「乘人之危」は、文字通りには「人の危難に乗じる」という意味で、以下のようなニュアンスを含みます。

• 不道徳な行為: 他人の弱みにつけ込むことは、道徳的に非難されるべき行為であるという強い非難のニュアンスが含まれます。
• 卑劣な手段: 相手が抵抗できない状況を利用するという、手段の卑劣さを強調します。
• 自己中心的な利益追求: 他人の不幸を顧みず、自分の利益だけを追求する利己的な態度を示します。
• 機会主義: 普段はできないようなことを、相手が弱っている隙をついて行うという、機会主義的な行動を指します。

3. 使い方

「乘人之危」は、主に以下のような文脈で使用されます。

• 非難や批判: 他人の弱みにつけ込むような行為を非難したり、批判したりする際に用いられます。
  • 例：「他在朋友失业的时候，乘人之危，抢走了他的客户。」（彼は友人が失業した時に、人の弱みにつけ込んで、彼の顧客を奪った。）
• 警告や戒め: 他人の弱みにつけ込むような行為を慎むよう、警告したり戒めたりする際に使われます。
  • 例：「我们不能乘人之危，做这种不道德的事情。」（我々は人の弱みにつけ込むような、このような不道徳なことをしてはいけない。）
• 状況の説明: ある人が他人の弱みにつけ込んでいる状況を客観的に説明する際に用いられることもあります。
  • 例：「这家公司乘人之危，在竞争对手陷入困境时，恶意收购了对方。」（この会社は人の弱みにつけ込み、競合他社が苦境に陥った際に、悪意ある買収を行った。）

その他の例文:

1. 在自然灾害发生后，一些不法商家乘人之危，哄抬物价，牟取暴利。（自然災害が発生した後、一部の悪徳業者は人の弱みにつけ込み、物価をつり上げて暴利をむさぼった。）
2. 他趁老板生病住院，乘人之危，夺取了公司的控制权。（彼は社長が病気で入院している隙に、人の弱みにつけ込み、会社の支配権を奪った。）
3. 真正的朋友不会乘人之危，而会在你困难的时候伸出援手。（本当の友人は人の弱みにつけ込むようなことはせず、あなたが困っている時に手を差し伸べてくれる。）
4. 这种乘人之危的行为，实在令人不齿。（このような人の弱みにつけ込む行為は、実に唾棄すべきものだ。）
5. 尽管对方已经陷入绝境，但他并没有乘人之危，而是选择了公平竞争。（相手はすでに絶体絶命の状況に陥っていたが、彼は人の弱みにつけ込むようなことはせず、公正な競争を選んだ。）

4. 文化背景と注意点

• 儒教的道徳観: 中国の伝統的な道徳観、特に儒教では、困っている人を助ける「仁」の精神が重視されます。「乘人之危」は、この「仁」に反する行為として、強く非難されます。
• 社会的な非難: 中国社会では、「乘人之危」は非常に恥ずべき行為と見なされ、このような行為をした人は、社会的な信用を失う可能性があります。
• 強い非難の言葉: 「乘人之危」は、非常に強い非難のニュアンスを含む言葉です。そのため、使用する際には、状況や相手との関係性を十分に考慮する必要があります。

5. 類似成語と反義成語

• 類似成語:
  • 落井下石 (luò jǐng xià shí): 井戸に落ちた人に石を投げつける。人の弱みにつけ込んで、さらに追い打ちをかけること。
  • 趁火打劫 (chèn huǒ dǎ jié): 火事に乗じて略奪する。人の災難につけ込んで、私腹を肥やすこと。
• 反義成語:
  • 雪中送炭 (xuě zhōng sòng tàn): 雪の中で炭を贈る。人が困っている時に、必要な援助をすること。
  • 扶危济困 (fú wēi jì kùn): 危険な状態の人を助け、困窮している人を救う。

6. まとめ

「乘人之危」は、人の弱みにつけ込むという、道徳的に許されない行為を非難する際に用いられる成語です。中国の伝統的な道徳観に基づいて、このような行為は強く非難されます。この成語を使用する際には、その強い非難のニュアンスを理解し、適切な場面で使うように注意することが重要です。また、類似成語や反義成語と合わせて学習することで、より深く理解することができるでしょう。